人気ブログランキング |
ブログトップ

魚心あれば水心

uogokoro.exblog.jp

魚心あれば水心あり:魚と水は互いに相手を欠くことのできない密接な間柄であることに例え、相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることにいう(広辞苑)

アマースト「酒事情」報告(4)―ワタリガラス再び

b0010426_717134.jpg

Ravenswood Vintners Blend Red
2004 South Eastern Australia Shiraz
No Wimpy Importers
Healdsburg, California, U.S.A.


このラベルを見よ。

このブログファン、いや、ファンでなくてもワイン好きなら「これは、何?」と思うんではないか。

Liqueur 44(わりとよく利用するStop&Shopという大型スーパーの隣にある安売り量販店の酒屋)でワインを買いだめしている時、ワインラックのこのラベルに目が留まり、「おやあ?」



どう見ても「Ravens Wood」である。しっかり「Ravens Wood Vintners Blend」と見慣れた文字が並んでいるし、ラベルの大きさ、縁取り、ロゴのフォントまですべて「Ravens Wood」そのものだ。「NO WIMPY WINE(へなちょこワインは造らない)!」という同社の有名なコピーもちゃんとついている。ただ1ヶ所、ワタリガラス(Raven)であるべきはずのロゴがなぜかカンガルーであることを除いては。

同社が所有している南東オーストラリアのワイナリーのものらしい。価格は8ドルで、普通のRavenとほぼ同じ。おいしいんだろうか?としばし悩んだが、思いきって買ってみた。ラベルがあまりにもユニークだったのと、人を担いでいる感じが面白かったからだ。

前にもちょこっと書いたけれど、私はオーストラリアワインをあまり信用していない。前回もオーストラリアワインで外れたが、だいたいハズレるからだ。しかもカンガルー。ますます信用できん。と思ったが買った。そして評価はやはりハズレ。同じ会社、同じコピーでなぜここまで違うか、というほどいまいちであった。同じ値段なら、絶対にカラスを買うべきである。多分もうこちらにいる間にオーストラリアワインに手を出すことはないと思われる。ま、これも勉強だ。

実は、最初の決意はどこへやら、ここに来てかなり「毎日飲むモード」になってしまっている。仕事のストレスが溜まっているのが一番の理由だと思う。最初は生活に慣れるだけで精いっぱいだったが、余裕がでてきたので、思うように仕事が進まないマネジメントのあらばかりが目立つようになってきているのだ。こちらには団体運営を勉強しに来ているはずなのだが、勉強させてもらっているのは「どうすれば団体がうまく運営できなくなるか」という事例なのだ。これじゃ、日本にいる時と同じじゃないか!とストレスをためているのだが、日本と違ってこの問題を話せる飲み友達(Tを始めとする)がいないため結局一人で飲むことになり、酒屋に行く機会ばかりが増えている。

加えて私が仕事をしているコミュニティの中には強固な「階級差別」と「学歴差別」があり、マネジメントとは別種の心理的ストレスを抱え込む原因となっている。このあたりの人たちは「進歩的」といわれ、「反差別」の権家のような人も多いが、人種差別、性差別には敏感なくせに階級差別や学歴差別についてはひどく鈍感だと感じる。教養、学歴、何の仕事をしているか、で細分化され、かっちり別れていて交わらない社会は、日本のように比較的均質なところから来た私には居心地が悪くて仕方がない。すごく進歩的なのに歴然と自分より下のクラスの人を見下す人が結構いて、それなのに自分たちが人を見下すような態度をとっていることに全く無自覚だったりする。

例えば私はたまに「我が家のハウスメイドなの」などと紹介されることがある。しょっちゅう家事をしているからだ。どうもこの家の人は家事は「苦行」でしかないらしく、「どうしてもしなければならない時しかしない」労働らしいので、進んで家事をする私が面白いらしい。私は「ジョーク」として聞き流しているが、あまり品の良いジョークではないといつも思う。が、本人たちは無自覚である。

またパーティなどで(私はこちらではホストファミリーの社会的地位の中に含まれているので一応ホワイトカラーの中にいれてもらっている。)、ワーキングクラスの人の話をする時に、「Stop & Shopで買い物をするような人たち」というような表現を耳にする。このあたりの「進歩的」な人々は「Whole Foods Market」という環境に優しく、有機野菜を扱うお店で買い物をするものと決まっているからだ。Stop&Shopの野菜の大半も「Organic」と表示されているが、Whole Foodsの方が格上なのだ。

そして酒屋で酒を買うような人は「Working Class」である。良識ある人は、Whole Foodsのワインコーナーで他の食料品と一緒にワインやビールを買うからだ。そしてたしなむ程度に飲酒をし、教養ある会話を楽しみ、政治を批判し、精神世界に傾倒する。2日でボトルを空けてしまう私のような野卑な酒飲みは「Whole Foods で買い物をするような人」の中にはいないのだ。そしてそのような酒飲みは教養もなく、政治にも環境問題にも無関心で、同性愛者の権利擁護など全く理解できる能力がない、と思われているのではないだろうか。

なので、私は酒屋が好きである。普段あまり出会えない(暴力加害者のプログラムでは出会っているが)Working Classの気さくなおっちゃん&にいちゃんが酒を買う姿を観察することができるからだ。ちょっと怖そうな人に出会うこともあるにはあるが、この近所には真に「危険」なところはないので、余裕を持って買い物を楽しんでいる。(車に荷物を積んだままにしておいても盗難の心配をする必要がない。本当に安全な地域に来たと思う。)私のように外見が幼いアジア人が酒屋で大量の酒を買い込んでいる姿はちょっと「?」と思われるらしく、なんだかんだと話しかけてもらったりして面白いこともあるのだ。

ということで、結局諸般の事情を言い訳にして、酒屋通いの日々を続けている私なのであった。で、多分帰国までこの状態は続くと思うので、月1回と決めていたこのブログの更新回数を増やすことにした。せっかくいろいろとお酒を試したし、別ブログの更新が止まっているので(今書くといろいろな不満をぶちまけてしまいそうになるので自分を抑えるために更新ペースを下げた。)、こっちのブログを書くのが精神衛生上いいような気がしているからだ。

帰国まであと1ヶ月半。せいぜいこちらでの酒飲み生活を楽しんで帰りたいと思っている。あとは、英語でも日本語でも良いが「話せる飲み友達」が一人でもできれば完璧なんだが。(カップル文化であるこちらで、一人でビールを飲みながらパブで勉強している私はかなり変わった人物と見られているのである。)

記事が気に入ったらここをクリック!
by fishmind | 2007-08-05 07:22 | 文化と芸術の話