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魚心あれば水心

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魚心あれば水心あり:魚と水は互いに相手を欠くことのできない密接な間柄であることに例え、相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることにいう(広辞苑)

突然死

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Mort Subite Framboise
Lambic Beer
Mort Subite
Brussel, Belgium

ベルギー人って、ビールに果物使うの好きだよね〜。(←一体誰に呼びかけてるんだ!?)

ベルギーの有名なビールにクリーク(Kriek)というサクランボのビールがある。クリークも、このフランボワーズも同じグーズという種類のビールだ。



グーズは、原料に酵母を加えないで自然発酵させたビール。「天然酵母パン」みたいなもので、「酵母を加えないかわりに、Lanbicという粗製の醸造物を混ぜて熟成させる」と、手元のバーテンダー辞典にある。この「混ぜもの」に果物が使われているということなのだろう。
混ぜものをしながら何年かかけて熟成させるグーズもあるらしく、ビールと呼んで良いものかどうか、という気になるが、店頭表示は「ベルギービール」。(でも税区分は発泡酒。当然です。)
この辞典、私がバーテンダーをしていた20年近く前に買ったものだが、記述が詳しく重宝している。著者はビール評論家として有名なマイケル・ジャクソン氏(不祥事で有名な歌手とは別人)。この本によると、私の好きな小麦ビールは、ヨーロッパではラズベリーのジュースを加えて飲むと書いてある。
最初から混ぜて売っているのが、このグーズということなのだろうか。

私はベルギーのことはよく知らないが、ベルギー人と聞いてすぐイメージするのは、探偵「エルキュール・ポアロ」。
小説では、ポワロが「カシスのシロップ(好物)」をいろいろなもので割って飲む様子を、英国人(男性)がバカにするシーンがたびたび書かれている。
今まで考えたこともなかったが、最近ベルギービールをよく飲むようになったので、ありとあらゆる果物でビールを造るベルギー人は、エールとウィスキーの本場英国人の目からみると「なんて女々しい酒を造っているんだ」と一般的に思われていたのでは?そしてクリスティはそんな風潮に皮肉を効かせる意味で、このキャラクターを発想したのでは?などと思い始めた。

この小説では、ポワロが「男らしくない」(外見、態度ともに)ために、しばしば登場人物たちが彼を軽く扱う。そんな男たちを尻目に、この独特な風貌の探偵は明晰な頭脳で「真犯人」を上げていく。
トリックの完成度と推理の展開がこのシリーズを名著にしているのは確か(王道の推理小説なのだから、それはもちろんマストアイテム)だが、英国の「階級社会」の人々と、この異邦人が交わすやりとりが、この「ポアロシリーズ」の面白みであり、物語のスパイスでもある。
ピーター・ユスチノフのポワロ(映画)のイメージが一般には強いようなのだが、小説本来の「女々しい感じ」は、彼だとちょっと伝わりきらない。ユスチノフのポワロのイメージは、ちょっとコロンボとかぶるところがある(吹き替えの関係もあるだろう。)が、ポワロとコロンボは全然別な個性の持ち主なので、映画だけで小説を読んだことがない人は、一度読んでみてほしい。
初めての「ポアロ」な方にお勧めするのは「「アクロイド殺し」(ポワロを知る多くの人は異存なしと思いますが、どうでしょう?)」。中学か高校の図書館でクリスティを端から全部読んだことがあるのだが、これが一番「今でも記憶に残っている」。あと、短編集「黄色いアイリス」
私は推理小説マニアではないので、あの頃読んだ推理小説の大半は忘れてしまったが、今でもタイトルを覚えているということは、「面白かった」ということだろう。

さてタイトルの種明かし。
このビールの醸造所「Mort Subite」が、「突然死」って意味なんである。

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by fishmind | 2006-04-20 21:37 | ジェンダーの話