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魚心あれば水心

uogokoro.exblog.jp

魚心あれば水心あり:魚と水は互いに相手を欠くことのできない密接な間柄であることに例え、相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることにいう(広辞苑)

眠れない夜に

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YONA YONA Ale -よなよなエール-
Pale Ale
Yoho Brewing Co.Ltd
Karuizawa, Japan

吉田秋生(よしだあきみ)の古い作品に「ヨナの百一夜物語」がある。

ヨナとは旧約聖書に出てくる予言者の名前。このマンガは近未来日本のパロディーで、山崎ヨナという日本人大学生がある日突然不眠症になるのだが、精神科医や催眠術師が何をしても彼を眠らせられないという話題がテレビで取り上げられているうちに、いつの間にか芸能人に祭り上げられてしまう、という話だ。



この話は現在小学館文庫の作品集「きつねのよめいり」(これは彼女の作品集の中でも初期の毛色が変わった小品ばかりを集めた単行本で面白い)に収録されている。吉田秋生のこの頃のマンガは、書かれた時代(昭和50年代)の大学生の暮らし(と価値観)をよく写しだしていると思う。

私はどんなに大変なことがあっても、あるいはどんなに忙しくても、ある程度眠らないと体力が戻らない方だ。時々、何日間もほとんど眠らないか、ほんの短い睡眠でも過ごせる人をみるが、信じられない。
標準以上にたっぷり眠らないと、頭がすぐ働かなくなってしまうのだ。

それでも、眠れない夜というのはある。

そのようなとき、眠りに導いてくれるものがお酒だ。もともとそれほど飲めるたちではなく、すぐ眠くなってしまう方なのだったのが、飲む機会が増えるうちにいつのまにか強くなってしまい、最近は多少アルコールを入れるくらいでは眠りにつけなくなってきている。
友人の精神科医Yはこの私の状態を、「依存症への危険な兆候」と忠告するが(私が「ちゃんと休肝日を設けている」と応えたら、「すでに否認が始まっている」と返され、さすがの私も返す言葉がなかった。)、まだ「おいしい酒なら多少高くても買う」という段階なので、本人診断では大丈夫だろうと思っている。
それに私の場合ありがたいことに、なぜか「ペールエール」や「ヴァイスビア」などいくつかの種類のビールなら、それほど量を飲まなくても緩やかに眠くなる。体質のようだ。

なので、眠れないことが原因で友人Yの世話になったことはまだない。
将来的に依存対応で世話になることが生じるかもしれないが、今の感じでは、まだしばらく猶予がありそうである。

マンガでは、ヨナが眠れなくなってから百日目に、友人の紹介で腕が良いと評判だが社会的にはあまり評価されていない精神科医を訪れる。医者に「社会の中で刺激を求めてありとあらゆることを試したタイプの人に生じる不眠」であると診断され、何か思いきった刺激のあることをすれば、あるいは眠れるかもしれないと示唆される。
「例えば?」と尋ねるヨナに「例えば人を殺してみるとか。」と冗談めかして応えた精神科医がその翌日、遺体で発見される。
死因は「睡眠薬の飲みすぎ」。
そのニュースが流れる中、不眠症百一日目にしてついに幸せそうに眠りをむさぼるヨナの姿が描かれ、ストーリーは終わる。なかなかシュールな幕切れだ。

どんなにお酒に頼っても眠れなくなるような日がもし来たら、私はどうするだろうか。やはり友人Yの世話になるのかな。
いや多分、そんなことにはならないだろう。友人を手にかける、なんて選択に追い込まれたくはないからね。

さて、紹介するこのペールエールは、多摩の恵を買うほど余裕がないとき、代替品としてよく買うものだ。近所の東急ストアに常においてあり、350ml缶260円という、標準価格の地ビールだが、よくできている。缶に2000年英国ミレニアムコンペティションズ銀賞、2000年ベルギーモンドセレクション銀賞、2004年日本インターナショナルビア・コンペティション5年連続金賞と記載されており、世間からも高い評価を得ているらしい。
とりあえず今日も、おいしいペールエールが手に入るシチュエーションにいさえすれば、殺人に手を染めることはないだろう、と信じて眠ることにする。

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by fishmind | 2006-03-16 05:27 | お酒の話