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魚心あれば水心

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魚心あれば水心あり:魚と水は互いに相手を欠くことのできない密接な間柄であることに例え、相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることにいう(広辞苑)

無印良品

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Mouton Cadet Rouge
2002 Pauillac,Bordeaux A.O.C
Baron Philippe de Rothschild
Girode, France

実は、本を出した。去年の11月に。
本の話は後日にするとして、その出版祝いにMamaTがくださったワイン。

例によって「安物なのよ」と言ってはいたが、もちろん、このクラスの「中で」安物という意味である。ロスシルド(ボルドー最高級赤ワインの生産者ブランド)のポイヤック(産地)となれば、「安物」ってことはないでしょう。
ありがとうございます。MamaT。



でも確かに指定シャトーではないので、それほど高いものでないことはわかる。このあたりはブドウ畑の場所によってものすごく細かく区分けされていて、同じ「Pauillac」でも「評価されている場所」と「評価が低い場所」の間には大きな値段の差があるのだ。
でも、この畑(クリュという)の格付け、1855年にナポレオン3世が貿易上の理由(パリ万博開催がきっかけ)で最初に決めて以来、150年間ほとんど変わっていない。ボルドーワインの紹介サイトを見ると、この地域の土壌の質が非常に入り組んでおり、土壌と日当たり(河岸の丘陵地帯なので場所の差が大きい)によって畑の質が規定されるために、細かな品質区分が行われていると説明されている。もちろんそれは事実としても、これが、細かく格付けて商品の値段の意味づけを行う「農業貿易上の戦略」であることは明らかだと思う。
実際には、熱心な醸造家のたゆまぬ技術革新により、格付けの低い畑でも多くの最高級と並び称されるワインが生まれている。古いワインのブランドを「伝統」として守りつつ、そうした「新しいワイン」には、山ほどある農作物の「表彰」制度を使って品質にお墨付きを与え、買い叩かれを防ぐとともに、新旧農家の競争を活性化させ、農業全体の振興が図れるという仕組みだ。
この国はホントに商売上手だなあ、といつも感心する。(もちろんこれらの制度に問題はいろいろある。しかし制度の問題点を上げる以前に、この国が「ヨーロッパの胃袋」として盤石な地位を保っていることの政治的な意味を忘れるべきではない。)

日本も少しは見習ってほしいよ。
私は、農業協同組合制度を国家の丸抱えにしたピラミッド構造での農業管理振興戦略をとってきたことが、日本の農業を体力と競争力に欠けるものにしたと思っているので、日本の農業施策に対しては評価が厳しい。ここに来てようやく、今までの農協のあり方が見直されようとしているが、狭い国土で土地(農地)を守るという価値観を戦略なく壊してきたつけを支払うのは、容易なことではないだろう。(こういう風に書くとよく誤解されるのでコメントすると、私は農業に関しては強固な保護貿易論者である。今時、いや、今に限ったことではないが、何でも「Yes or No?」的なわかりやすさを求める姿勢はどうかと思う。国際政治って、そんな単純なものじゃないっすよ。)
島国なのに胃袋が身体の外にあるという実態はどうにも心許ない。(それなのに外交下手だしさあ。)地方出張などで減反施策により荒れ果てた田畑を見るたび(そして大量の新しい「公共事業」がそれらの土地に植え付けられているのを見るたび)、「体力を維持できない国になる日も近いな」と憂鬱な気持ちになったりするのだった。

日本の農業の貧しさはさておき、このワインを先ほど紹介したボルドーサイトで調べてみたら、「手頃な価格帯のボルドー100選」に選ばれていた。上質の産地だが無格だから安く出回っているわけだ。こういう「トップブランドと並ぶ出来だが安い」ワイン、見つけてくる人は私の中でとても高く評価されます。さすがMamaT。

次は私が彼女をあっと言わすようなリーズナブル商品を紹介できるようにしなければ。実は近々彼女に、今度は私がお祝いを贈らなければならないことになっているのだ。

まずはMamaT、お嬢さんの難関突破おめでとう!サポートお疲れ様でした!

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by fishmind | 2006-03-06 06:37 | お酒の話

by AYUHA