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魚心あれば水心

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魚心あれば水心あり:魚と水は互いに相手を欠くことのできない密接な間柄であることに例え、相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることにいう(広辞苑)

トナカイ

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GingaKogen Komugi-no-Beer
Wheat Beer
Gingakogen Beer
Nasu,Japan

1月の大雪の日に、どうやらお腹の風邪を引いたらしい。

熱や咳が出たわけではないのだが、ひどい頭痛と吐き気のあとにお腹を壊し、その後現在まで、すっきりしない調子が続いている。



あまりにも調子が戻らないので、「ひょっとして腸内細菌叢が変わっているのかも?」と思い、久しぶりに銀河高原ビールを買ってみた。ビール酵母が何か私の腸に良い影響を与えてくれないかな、などという不埒な期待からである。

もう少し違う方法を考えつけよ、って感じなのだが、そこはそれ。
この治療が理にかなっているかどうかは別として、何となく「お腹にいいことをしている」という気分はある。改善があるよう望んでいる。

去年、友人たちと那須にドライブした時、この銀河高原ビールの工場併設レストランに寄った。銀河高原というくらいだから盛岡あたりのメーカーかと思っていたら違ったので驚いた。
ブランドラベルは「トナカイ」。
この動物も、もっと北の方のイメージだ。

友人Tがラベルをみて「カモシカね」と言ったので、「これはトナカイだよ」と、カモシカとトナカイの違いを説明した。

1)カモシカはウシ科、トナカイはシカ科
2)ウシ科は角が枝分かれしないけど、シカ科は枝分かれする
3)ウシ科は雄も雌も同じような角があるけど、シカ科は立派な枝角が生えるのは雄だけ
4)ウシ科の角は一度折れたら生えてこないけど、シカ科の角は季節ごとに生え替わる

見た目での大まかな区別はこんな感じ。他にも、シカ科は主に森林に棲息するが、ウシ科は草原に分布するとか、シカ科は単独で生活することもあるが、ウシ科は大きな群れを作るなどの特徴があるが、行動は絶対的な違いではない。ニホンカモシカは森に住んでるし、トナカイは大きな群れを作るからだ。

「じゃあなんでウシ科なのにカモ"シカ"なの?」と聞かれたので、手元の広辞苑で調べてみた。「カモ(動物の毛を糸に混ぜて織った毛織物)に織るシカの意」だって。
この「カモ」、ひな壇にしく毛氈(もうせん)のことらしい。毛氈の氈と言う字を「カモ」と読むようだ。
多分昔の人(日本人)はニホンカモシカはシカだと思っていたのだろう。日本語の動物分類法ってかなり適当だから。(狢-むじな-みたいなおかしな分類作っちゃうし)

そこではたと「じゃあトナカイはひょっとして・・・」と気づき、早速調べてみた。
やっぱり。
アイヌ語だ。

日本語の動物(もちろん動物には限らないが)の名前で、何でこう呼ぶんだろう、と不思議に思ったら、アイヌ語由来を疑ってみると良い。ラッコ、アザラシ、シシャモ。
イクラも確かアイヌ語だ。
ちなみに、原典がアイヌ語でないとわかったら、次にあたってみるべきは朝鮮語だが、この二つの言葉は響きが違うので、こつをつかむとどっちを先に調べればいいかわかって、無駄足を踏むことが少なくなる。

語源調べの話はともかく(実は私はアシスタントMに「語源病」というあだ名をつけられたことがある)、トナカイって、いかにもアイヌ語らしい響きだ。

初めてちゃんとしたアイヌ語に触れたのは、大学4年の卒業旅行に2週間ほど北海道に行ったとき。白鳥、丹頂、流氷をみるのが目的の旅だったが、動物学専攻としては、北海道に特徴的な動物たちをできるだけたくさん観察したいという希望があり、かなり広い範囲を移動した。(歩くスキーもやった)動物にまつわる神話もたくさん読んだし、イヨマンテ(熊祭り)の記録をみたり、アイヌ語の口述テープを聞いたりもした。

しかし、トナカイについて何か聞いたり見た記憶はない。
今、北海道に野生のトナカイはいないが、シベリアのタイガとツンドラを大きな群れを作って移動する彼らは、大陸と陸続きだった頃にはしょっちゅう現れていたろう。アイヌ語にある以上、陸続きでなくなってからも、何かの都合で姿を現すことがあったと思われる。

航空写真でしか見たことがないが、シベリアを移動するトナカイの群れは、それはそれは雄大なものだ。
あんなのが近くに来ていた時代が日本にあったと想像するだけでわくわくする。

大和朝廷が北進してくるまで、関東平野全体がアイヌ民族圏だったし、かなり最近(江戸時代)でも、交通の主要路や産業上重要な場所以外の東北部には、アイヌ文化が根強く残っていた地域もあると聞いている。那須のブランドがイメージにトナカイを使うのは、歴史を知る人にとっては理にかなっているのかもしれない。

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by fishmind | 2006-02-25 16:30 | 生物の話