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魚心あれば水心

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魚心あれば水心あり:魚と水は互いに相手を欠くことのできない密接な間柄であることに例え、相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることにいう(広辞苑)

「写真展」開催までのプロセス(2)

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テーマに基づき、写真を編集



「テーマ」をくっきり見せていくためには、質の高い写真を作るとともに、構成や流れといった編集技術も必要だ。
編集を工夫するだけで、たいして上手でもない写真が「鑑賞に堪える」ものにもなる。これは写真を並べてみせる「写真展」ならではの効果と言えよう。

自分が全く無名の新人で、展覧会も初めてなら、自分ですべて決めてしまうのではなく、周りの人の意見を求めながら写真編集を進める方が、よい結果が出ると思う。
要は見せ方なのだから、見る側の意見をちゃんと聞いて並べよう、という当たり前のマナーだ。

相談相手は、写真を習っている先生や一緒に勉強している学生仲間、新人登竜門となる公募展を開いているようなギャラリーのスタッフなどがいいだろう。
写真をよく知らない友人や家族の意見も参考にはなるが、こういう素人の意見を聞く時は、ある程度テーマイメージが固まってからにしないと意見がかえって混乱を招くので注意すること。

さて、展覧会の写真編集でとりあえず意見を聞いてみるべきなのがギャラリースタッフだ。
ギャラリーにもよるが、専任のギャラリー担当者をおいているようなところなら、普通は「よい展示をしたい」「よい新人を発掘したい」と考えて写真を見てくれるので、まだそこのギャラリーに展示できるレベルに達していなかったとしても、率直なアドバイスをくれたり、親身に相談にのってくれたり、場合によっては「この内容ならうちよりもあそこの方が・・」などと別のギャラリー情報をくれたりする。

仲良くなっておいて損はないので、ヘンにツッパって関係を悪くしないように。
まあ、気むずかしい芸術家タイプの先生とも丁寧に関係を作っているこれらの担当者たちが、若者の傍若無人で後々までしこりを残すとは思えないが。

ギャラリー担当者は、その写真を客観的に見る側の代表として、より「人に伝わる」展覧会を作るという観点から意見を言ってくれる。うるさく感じるときもあるかもしれないが、ギャラリー担当者にもきちんと伝わらないような写真は、一般の人の鑑賞にも堪えられない独りよがりな作品である、ということを肝に銘じよう。

学生や写真仲間が集まってグループ展を開くとなれば、自分の展示するテーマとは別に、グループ共通のテーマもきちんと立てなくてはならない。
同じクラスの仲間でグループ展を開く場合は、それぞれのテーマや得意なジャンルがまちまちなものを一同に並べなければならない、ということも起こる。
写真のテーマや内容やレベルがどれだけまちまちでも、一緒に並べる場合は最低限のテーマなり質なりを揃えて並べないと、観る側に散漫な印象を与えてしまう。印象に残る展覧会にするためには、共通テーマの設定(ひねりだし)は必須なのだ。
何とかテーマをひねり出し、後は並べ方と見せ方で勝負する、というのが、このタイプの写真展の定石である。

というわけで、写真の内容があまりよくない場合の見せ方の奇手をいくつか紹介する。奇手と言っても、学生展ではよく見る方法だ。上手な写真に奇手は必要ないので、レベルのまちまちな参加者によるグループ展で、あまりさまにならない写真を底上げする方法として参考にしてください。

1)とにかくでかい(大きく引き延ばしたり、複数の写真をつないでコラージュしたりして大きくする)写真を並べる
2)とにかく数を並べる(枚数を極端に多くする)
3)写真以外の何か(音楽、絵画、映像、詩など)とコラボレート(共同制作)する
4)大勢で一つの作品をコラボレートする

要するに、私自身もこのような手を使っているという意味な訳だが、やはり、写真一枚一枚の存在感で見せる写真で勝負するのが王道だろう。たまの遊び心で奇手を打つのはいいが、いつもそれをやっていると、実力がないことがばれてしまう。

まずは王道で勝負するつもりで取り組むこと。
でもどうしようもないときにはこういう手もあるから、ものすごく構えて写真展を企画しなければならないという意味ではないよ、ということが言いたかったのである。

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by fishmind | 2006-02-17 06:48 | 写真表現の話

by AYUHA