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魚心あれば水心

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魚心あれば水心あり:魚と水は互いに相手を欠くことのできない密接な間柄であることに例え、相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることにいう(広辞苑)

「写真展」開催までのプロセス(6)

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構成を固める



企画がきちんとまとまっているつもりでも、実際に自分たちの作品をギャラリーの壁面や構造の中に物理的に埋め込んでいくと、細かな変更が必要になる。

写真展を申し込む最初の段階で、自分たちが開きたい写真展の規模にそのギャラリーが見合っているかは考えているだろうが、特にグループ展などは作品点数が多くなりがちなので、一つの写真の大きさを制限したり、点数を削ったりしなければならない場合もある。

特別な意図を持った写真でない限り、ギャラリーに展示して見栄えが良い大きさは最低でも六切、できれば四つ切りから全倍(600ミリ×900ミリ)くらいにはしたいものである。
カフェなどがギャラリー貸しをしてくれるところでは、大きい写真だとかえって展示ししにくいこともあるが、その場合でも、「この方がおしゃれだから」と六つ切りより小さい写真を飾ると、全体のインパクトが弱くなって写真がカフェの内装の一部になってしまいかねないので注意しよう。

写真展はあなたの作品を見てもらう場であって、カフェの雰囲気を良くするためだけに行うものではない。

ギャラリー以外の場所に写真を展示させてもらうときは特に、場の雰囲気と写真の内容があっているかどうかを確かめてから展示許可なり、申し込みをするのが大前提だ。

企画のポートフォリオ段階では、小さいサイズで大きさも揃えて作っていると思うが、実際に展示を考えていくときには、作品に見合った大きさだけでなく、複数の写真で見せる場合の大きさの統一性や並べ方も考えなければならない。静かで穏やかな雰囲気を出したければ、同じサイズで写真を統一した方がいいし、2〜3種類のサイズを組み合わせて並べて視線に動きをつけたり、主題となる作品だけを大きく延ばしてテーマを強調する方法もある。
展示方法は、いろいろな写真展を見て回るのが一番参考になる。写真の内容だけでなく、構成や展示の仕方によっても写真展の個性を強調できるので工夫してみてほしい。

グループ展では、全体テーマとそれぞれの個人の作品テーマとを構成によってどうつなぐかも考えなければならない。統一性や平等性、作品との距離や客観性を保つことを重視すれば、全員に同じ大きさ、同じ並べ方をするよう理解してもらう必要が出てくるし、逆に「壁面一人当たり何メートル」と全員に平等にスペースを割り付けてしまって、その範囲で自由に構成してもらうというやり方もあるだろう。
グループ展だからとメンバーに平等に壁面をふる必要もないので、それぞれの個性に合わせて割りあてる壁面の大きさを変えたっていい。どんな部屋でも長い壁面と短い壁面があるのが普通だから、完全に同じ分量で割ることは最初から不可能なのだ。

さて、構成を考える段階では、大きさや並べ方に加えて「展示の方法」を考えなければならない。額に入れるのか、パネルに貼るのか。
最近はデジタルプリントしたものをそのままピンで壁に留めつける方法もよく見る。

額に入れて飾る場合は、どこかで額を借りなければならない。お金が十分あるとか出展数が1点か2点であれば額を買うという選択ももちろんあるが、通常はギャラリーで借りるか(有料の場合と無料の場合とがある)、外部の業者にレンタルを注文することになる。ギャラリーによっては外部の業者が指定されることもあるので、通常そこのギャラリーがどのようなシステムをとっているのかを聞いておこう。
自分たちの写真に一番あった展示ができるよう考えながらも、それが無理な場合には現実的な方法を提案し、交渉することが大切だ。

一般的なギャラリーは、打ち合わせの段階で確認が必要なことや、こちらから出す条件を判断して、不安な点は前もってたずねてくれるが、カフェなどのお店や公共施設の一部を開放してくれる時などは、こちらが気をつけて細かく確認をとっておかないと、展示が始まってからあれこれ言われてトラブルが起きたりする。
特に、初めて写真展をするときや、作品が壁面使用の自由度を求めるとき(大きさ、壁に直接留めつけたい、大胆なアレンジをしたいときなど)、そして写真展の開催に慣れていない場所や担当者を相手にするときは、構成を固める段階での確認に手を抜かないようにしてほしい。

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by fishmind | 2006-08-26 13:03 | 写真表現の話

by AYUHA